ホークスちょっと昔話「秋山ホークスの中継ぎで活躍」~金無英の巻
3月23日、とても楽しみなホークスOB戦がみずほPayPayドームで開催されます。
懐かしの面々が、ユニフォームに袖を通して再びグラウンドで躍動します。
彼らは現役時代にどんな輝きを見せていたのか。ホークス取材歴24年(2002年シーズンより)、ホークスの歴史をずっと現場で数々を取材してきました。そして、たくさんの原稿を書いてきました。
あの選手が当時どんな活躍をして、どんな思いで戦っていたのか。
その頃に私が執筆した拙稿ではありますが、ホークスにあった数々のドラマを、当時の熱量のまま思い出していただければ幸いです。
その名も、「ホークスちょっと昔話」。はじまり、はじまり~。
2012年6月に「週刊ベースボール」へ寄稿したものに一部加筆・修正

2011年7月に撮影
零封を、今季開幕から14試合続けて迎えた5月23日の広島戦(ヤフードーム)。
天と地を分ける運命の一戦。決して大袈裟ではなく、金無英(キム・ムヨン)は覚悟を胸にマウンドに上がっていた。
敗戦処理からの脱却がかかっていた。それまで防御率0.00をキープするも、勝ち試合での登板は2度だけ。それも大差の場面だった。いわゆるプレッシャーのかからない状況での好投である。しかし、この日は違った。ソフトバンクが6対3とリードして迎えた8回のマウンド。リードを守りきればホールドが記録される。つまり、秋山幸二監督は金をセットアッパーとして送り出したのである。
「ずっと抑えてきて、ようやくチャンスをもらうことができた。でも、打たれてしまったら、首脳陣には『まだまだだな』という印象を与えて、また一からのスタートになる。このチャンスを奪い取ることができなければ、男として情けない。そんな強い気持ちで、ブルペンからマウンドに向かいました」
魂を込めた投球は、1番から始まる広島の好打順を全く寄せつけなかった。梵英心を145キロで右飛に仕留めると、東出輝裕には130キロ台後半の高速フォークを投げ込み空振り三振。3番の丸佳浩は一ゴロに打ち取り、見事三者凡退でプロ2個目のホールドをマークしたのだった。
金はソフトバンク投手陣の救世主として期待の存在になっている。今季は先発の弱体化がクローズアップされたが、じつはここ最近はリリーフ陣が崩壊状態なのだ。長らく守護神を務めた馬原孝浩が2月に右肩を手術し復帰の見通しが立たず、ファルケンボーグが代役を務めてきた。だが、頼みの助っ投が5月中旬に右肩の違和感を訴えて離脱。すると、またセットアッパーから、今度は森福允彦が抑えに回り、中継ぎ陣はどんどんコマ不足へ。加えて、昨季は53試合に登板して防御率1点台と活躍した金澤健人も腰の状態がイマイチで本調子ではない。その中で金はコツコツと結果を残し、ついに鷹の新セットアッパーに名乗りを上げるまでになったのだ。
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